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2018年 4月某日 午後20時すぎ
昼の暖気が生温い夜風になって吹きつけている。赤羽の街はいつものように酔客で賑わっていた。
東口を出て一番街とは真逆へ、にぎやかな飲み屋街とは対照的な、しかしある種 一番街よりも大人の地域へと歩を進める。
頃合いを見て左折、、さて、徘徊を始めようか。
とその前に、今後登場してくる人物と物語の予定を伝えておこう。
東京都北区赤羽 本サロ潜入調査 主要人物
☆初老のひげダルマ(第一話・前後半)
☆昭和の客引き(第二話)
☆五十路の夜鷹(第三話)
そして、素人童貞コトわたし、バカイチだ。
わたしは、この3人から赤羽の本サロ事情のすべてを入手した。時になに食わぬ顔で、時に知ったかぶりを交え、時にテクを駆使し、上京者を装って、身体を張って情報を得た。
とりわけて何も難しいことはしていない。一連の会話が偶然にも一本の道になってゴールまで辿り着いた、ただそれだけのことだ。
それでは早速、登場人物との会話を基にその道を辿っていこう。
東京都北区赤羽 本サロ潜入調査・第一話 イメージクラブ『○○○○』のひげダルマ
その爺は突然現れた。どこからともなく、気がつけば手の届く距離、次の瞬間には半ニヤケの顔が真横にあった。
野球帽をかぶり、分厚い丸メガネを掛け、口から顎にかけて豊かなひげを蓄えた小太りで小さな身体。声は酒やけしたかのようにしわがれているが、滑舌良く、耳の聞き取りもい悪くない。
イメージ的には手塚治虫作品に出てくる「伴俊作(ヒゲオヤジ)」を悪者にしたような感じだろうか。
ヒゲオヤジではなんだから、彼を「ひげダルマ」と呼ぶことにする。
ひげダルマの第一声はこれだ。
「ごめんねぇ、まだ女の子きてないんだわ。」
なぜ謝られたのか、少し時を戻そう。
怪しすぎるお店『○○○○』
徘徊が3周目に入ったころ、ちょうど作戦変更を試みた頃合いに、ふと怪しげな看板が目についた。
イメージクラブ『○○○○』
只今の価格10000円
花びら回転もアリ
看板が示す先には階段があり、2階に店舗があるようだった。
一見して風俗店。だが、見るからに怪しく、見るからに入りにくい。得てしてこの手のお店の店頭には呼び込みのオヤヂが居るものだが…
周囲を見渡し、客引きがいないかを確認する。看板前に立ち止まり興味があるぞと装ってみても、誰も声をかけてこない。
なんだろうこの感じ。わたしが不自然すぎるのか。それとも誰もいないのか。まさか私服警官とでも思われているのだろうか。
ははは、そんなバカな。
年甲斐もなく若者風の装い。いまはやりのサイズアップのパンツにリネンのシャツ。背中にはバックパックを背負っている。
どこからどうみても一般人。これが私服警官なら世も末だろう。
といっても現に誰も声を掛けてこないし、声が掛からないなら掛からないで、コトが先に進まない、、、目の前の怪しげな階段を昇る以外は。。
赤羽 本サロの潜入調査、しょっぱなからディープである。よもや何の案内も情報もなく、自らの意思だけで怪しげな店に飛び込むことになるとは…
階段の向こうは昭和の世界でした
狭い潜り戸を越えて緩やかな階段を昇る。階上からはピンサロ特有のユーロビートが聞こえてくる。上りきった先には店頭に掲示されたものと同じ看板。
左手に入り口があるが、扉は閉まっておらず、中の様子が丸見えだった。
グレーのソファーが2~3席、天井には折り紙でつくられた手作りの花飾り、床にはフロアマットが敷かれていたが、全体的に黒ずんでおり、店内の湿気と埃っぽさからも長らく営業している様子が窺えた。
店内左手にはキッチンというか、カウンターを併設した炊事場、おしぼりを冷やすであろう温冷庫だろうか、カウンターの上にはグラスやドリンクに備品などがごみごみと並べられていた。
音楽が鳴り響くも店内の照明は煌々と照らされ、営業しているのか、準備中なのか、どうにも釈然としない。それよりも中から人の気配がしない。
恐る恐る中を覗き見ながら、「すみませーん」と呼び掛けてみる。
反応がない。その後も何度か呼び掛けてみるも変わらず反応がなく、だからと言ってさすがに中には入れないため来た道を引き返し、表へと出た。
外に出たところでもういちど看板を見て、古ぼけた建物全体を捉えながら遠ざかっていたそのとき、近づいてくる何かに気が付いた。
それが、ひげダルマ。そして、例の第一声、、「ごめんねぇ、まだ女の子きてないんだわ。」が発せられたのだった。
要するに、ひげダルマはこの怪しげな店の関係者というわけだ。
ここからひげダルマとの会話が始まり、この会話をきっかけに物語は一気に加速していく。
つづく
to be continued
⇒次回・ひげダルマとの会話のなかで本サロ発見へのパワーワードが語られる!? ご期待ください