その壱はこちら。
その弐はこちら。
その参はこちら。
つづき。
と声のトーンが確実に落ちた。しかし、彼女はまだ諦めない。
「だったらお店には内緒で、私にチップという形でいくらかくれてもいいよ。それならお店には内緒だから安く済むし。でも絶対に内緒だよ（気持ち小声）」
と今度は内密に賄賂を要求してきた。
（そうきたか！）
と思う自分あり。反面、しつこいと思う自分もあり。この状況を楽しんでいると言えば楽しんでいる…が、さすがにそろそろ疲れてきた。
とはいえ、ここはチャンス！なんせ向こうからディスカウントを示唆してきたのだから。
今までこちらの欲望を言葉巧みに操作し、散々刺激するだけして、もはや辛抱堪らん！という状況を作り上げられるもそれ以上は５万円。それがここえきて内緒で料金をディスカウントするという。
この時点ではいくら要求されるか分からないが、とりあえず相手が折れるまでにはこぎつけた。
「どうする？内緒で楽しむ？」
静かに囁くように問いかけてくる嬢。まるで心の中を見透かされているようだった。
そもそもこの状況。私にとってかなり分が悪い。なぜなら選択の余地がないからだ。この状況、例えるなら空腹にも関わらず目の前に好物の食事を出され、「食べる？食べない？お金ならあるだけでいいよ」そう言われているようなもの。
私は先ほどの「コンビニ発言」より冷静さを取り戻していたが、身体は冷静ではない。頭は冷静だが、身体は欲している。欲情している。ゆえに、この時…
（いくらなんだろうか？？）
と断るよりも先に割引価格が気になった。だが数万円も支払うつもりは毛頭ない。出せて数千円。具体的に額面をあげるならば５０００円。樋口一葉、一枚。これ以上もこれ以下もビタ一文支払うつもりはなかった。
そもそもなぜ５０００円かというと、私が最低５０００円は持っているということを店側が知っているからだ。
もう随分前のことで覚えていないかもしれないが、私は入店前に料金を支払う際、敢えて１万円札で支払い、敢えて５０００円のお釣りを貰うように仕向けた。
これは、相手に少しはお金を持っていると分からせるためと、万一抜き差しならぬ状況になったら５０００円の範囲で乗っかってやろうと事前に思っていたからだ。
つまり、現在のこの状況。ボッタクリ店にも関わらず欲望を刺激され、出来れば射精して終わりたい！しかし、射精するには料金が高い。高すぎる。がそんな局面においても断固拒否し続けた結果、ここえきて向こうからディスカウントを示唆してくるこの状況…
今だから明かすが、これは全て狙い通り。途中、予期せぬ高額料金であったり、ハンドマッサージがまさか本当にただのマッサージだった、という予期せぬ現実があったとはいえ、この状況は狙い通りで、万事上手く進んでいた。
とどのつまり、私は当初から状況次第では追加料金を支払うつもりでいたのだ。完全にボッタクられるため。ボッタクリ店『エンジェルシェイク』の完全な手口を白日の下に晒すため、端から追加料金を支払うつもりでいたのだ。
ただその金額が５０００円という小額だっただけのことである。
ならばこそこの状況、答えはひとつ。
「えっ内緒で…。チップか…。ちなみにいくらなの？俺ほんとお金ないよ」
と支払うつもりである事を相手に示すだけである。
これを受けて嬢が答える。
「え～と１万円かな。１万円くれたらこの（５万円）コースの一部をサービスしてあげる」
「一万円か…」
「……」
「……」
互いに顔を見つめあわせつつ、しばし沈黙。その後…
「やっぱりいいや。お金ないし。この後、飲みに行かなきゃだからあんまりお金使えないんだ。ごめんね」
と一度断る。すると嬢は…
「いくらならあるの？」
とすかさず質問してきたので、私は…
「（出せて）５０００円。これが限界」
と即答した。正直、これで乗ってくればそれで良し。仮に乗ってこなくてもそれもまた良し。その時は素直に帰ろうと心に決めていた。
嬢は「う～ん」と悩みつつ、しばらく考えた後…
「ちょっと待ってて」
と言ってブース外に飛び出した。
「へっ！？」
嬢の思わぬ行動に戸惑う私。しかし、急に飛び出て行かれてはどうすることもできない。私はただ待つしかなかった。
程なくして嬢が戻る。そして…
「じゃ５０００円でいいよ。今回だけ特別。でも絶対に内緒だよ！」
とあっさりＯＫが出た。ついさっきまで悩んでいたにも関わらず、外出して戻るなり即答でＯＫ。内緒と言いつつ黒コートの男に相談していることは明らかだった。
私は…
「いいの？ホントに？ありがとう」
と驚きを交えお礼を言うが、実は乗ってくるであろうことは大方予想通り。店も嬢もゼロで終わるよりは少なからず追加料金を得ていた方がいいだろうし、それよりもこれを皮切りに更にくすねとってやろうという魂胆が働くであろうことは容易に想像できた。
紆余曲折あれ５万円が５０００円にディスカウント。可能サービスが制限されるとはいえ、１０分の１の値段まで落ちれば十分恩の字だろう。
料金が合意したところで、私はサービス内容を確認する。重要視したのは、生フェラがあるのか？タッチがあるのか？の二点。後々「言った」「言わない」にならぬよう、ここは念入りに確認しておく必要があった。
嬢が答える。
「もちろんお口でしますよ。あとタッチも大丈夫だけどソフトにお願いします。あんまり激しいのは駄目です」
それを聞いて再度問う。
「ソフトにね。了解。一応確認だけど生フェラだよね。５０００円支払ったから生フェラでサービスしてくれるんだよね」
と今更ではあるが、ボッタクリ店であるため、これでもか！と執拗に確認した。嬢はその都度…
「はい。お口でサービスします」
と笑顔で答えた。
言質も取り、念も押した。であれば後はスッキリ抜いてもらうだけだ。
ということで後々トラブルになっても困るため、追加料金を先に支払うことにし、嬢もそれを望んだ。財布からお釣りで受け取った５０００円札を取り出し手渡す。
すると、ここでも嬢が驚愕の行動に…！
なんとまたもやブース外に飛び出てしまったのだ。今渡した５０００円を持って…。
「へっ！？？」
再び唖然とする私。
（内緒とちゃうんかい！）
恐らく突っ込みを入れたのは私だけではないだろう。
料金を支払い、いよいよかと思ったら、再び待機。下半身を露出しながら待つしばしの時間。ボッタクリ店で何を興奮しているんだ…という気持ち。否、ボッタクリ店であろうが料金を支払った以上、最後まで仕事をしてもらうのが当然…という想い。
その心情は複雑だった。
しばらくして嬢が戻ってきた。ブースに入るや否や私の体勢を確認し、少し指示を出す。そして、嬢が髪の毛を後ろへとかき上げる。
ヤル気である。
膝元のカゴからお絞りを取り出し、丁寧に愚息を拭く。そして、口元を愚息に近づけて…いよいよ始まった。
生フェラの開始である。
まずは愚息横から口を添え、なぞるようにソワソワ。唇と愚息が微妙な距離を保ち触れ合う。フェザータッチ。まさにそんな感触。ゾクソクした。
その瞬間インターバルで再び小さくまとまっていた愚息が三度ギンギンに怒張する。終始焦らされていたので、いつも以上に復活は早く、殊更固かった。
フェザータッチの感触を楽しみつつ、私はもう一つのサービス－お触り－を試みる。同士の事前情報によれば、嬢が傷付いた場合はそれ相応の慰謝料を請求されるとあったが、元より下を触るつもりはない。あくまでも胸、上半身を軽く触る程度だ。
フェラをする嬢の胸元に手を伸ばす。すると、ふと嬢の動きがとまる。
「それは駄目です」
「へっ？」
「駄目です。お触りは服の上からです。服の上からのソフトタッチです」
「へっ？？服の上から…」
思えば嬢は「私服かッ！」と言わんばかりに衣服を着ている。下着は当然。その上にタンクトップのようなもの。そしてワンピース、更には網目模様の毛糸のカーディガン。
（この状態で服の上からのソフトタッチだと…）
触ってみたが案の定、何の感触もない。服を触っているだけ。胸元に手を当ててみても、あの独特の柔らかさは感じられず、寧ろゴワゴワした硬さを感じた。
「ちょっ服は脱がないの？ぜめて下着になるとか？」
思わず問いかける。が、嬢は平然と…
「このコースは服を着たままなの。それに特別料金だからね…」
と相変わらず悪びれるところがない。とはいえ、現にソフトタッチと言われており、事前に脱衣の確認をしていなかったため、これはこれで自分のミス。仕方がないと納得した…が、次の瞬間…
「仕方ないから一枚だけね」
と言って一番上に着ていた網目模様のセーターだけ脱いだ。更に欲望をかきたたせるためか？それとも私に同情したのか？真相は最後まで不明だった。
念のため再度タッチを試みる。
……
……
絹の感触が手に残った。そして、私はタッチを諦めた。
つづく。
To Be Continued．
永久保存版！ボッタクリサロン潜入調査 その巧妙な手口を身をもって体験してきました！！その七－激昂－
