その壱はこちら。
その弐はこちら。
その参はこちら。
つづき。
念のため再度タッチを試みる。
……
……
絹の感触が手に残った。そして、私はタッチを諦めた。
とはいえ、全てを諦めたわけではない。あくまでもタッチ-お触り-を諦めただけで、入店前に5000円。そして、合意の上で更に追加で5000円。締めて10000円の高額支払い…。
この事実を忘れてはいない。これだけ支払うとボッタクリ店とはいえ最低限、射精せずには帰れない!という
気持ちになる。ゆえに私の気持ちはタッチではなく口淫-フェラ-に全神経を使うことにした。
気を取り直し下半身に集中する。
タッチを試みる間、嬢の口淫はストップしていた。しかし、私がタッチを諦めたと気付くや否や再び愚息に唇を近づけ、さっきと同じ体勢で、同じようなフェザータッチを開始した。
ソワソワソワソワ。フワフワフワフワ。
まるでハーモニカを吹くように、愚息の横に唇を当てがい、上下に(いや左右にと言ったほうが適切か)這わせ滑らせる。
感触としては、「こそばい」というか「くすぐったい」というか、「くすぐった気持ちいい」というか…何とも掴みどころのない感触。だが、これはこれで前菜、今から起こりえる本番の前の前戯と考えれば心地いい。
現に愚息もすこぶる元気だ。
同士からはこの状況でよく「おっ起つな~」と感心されたりもするが、私の愚息はいつもに増してすこぶる元気だった。
(さて、ここからどのような技術を見せてくれるのだろうか?ボッタクリ店とはいえ、状況転じて見知らぬオヤヂのチ○コに唇を這わせているのだ。しかも、くどいようだが10000円も支払っている。
恐らくこの後も生乳タッチや指入れ、クンニ、さらにはカゴの中にあるローターやバイブなどを餌に、事あるごとに追加料金をせしめてくるだろう。が、これ以上はビタ一文払わない。それは嬢も薄々気付いていることだろう。
であれば、後は手抜きでも何でもいいから早々に射精させて、さっさとお帰りいただく…)
この流れで来るだろうと思っていたら…何てことはない。私の考えは甘かった。
やはりボッタクリ店はボッタクリ店。この新橋ピンサロ『エンジェルシェイク』は、骨の髄までボッタクリ店であった。
蛙の子は蛙。餅は餅屋という言葉があるように、ボッタクリ店はボッタクリ店。時代が変わろうが、手口が変わろうが、経営者が変わろうが、所詮、悪はどこまでいっても悪。チンピラは何があってもチンピラなのだ。
彼らには義理や人情、思いやりという人としての感情は一切なく、つまるところ彼らの目的はただひとつで、それは一円でも多くの金を騙し取るだけ。
これのみがボッタクリ店がボッタクリ店として存在するための唯一の意義。いくらお金を騙し取り、いくら現金を積み上げたとしても、またお客がそれを期待し、それを心から望んだとしても…
彼らにサービスする気は皆無で、射精させるつもりは、初めからこれっぽっちもない。
その証拠がこれまでの行動であり、これからの行動だ。
それにしても、私の考えが甘かったと言えばそれまでだが、久しくボッタクリ被害の話を聞いておらず、久しくボッタクリ店について考えてこなかった。それゆえ、「ボッタクリ店はどこまでいってもボッタクリ店」という昔の知識が色褪せていたようだ。
では現場に戻る。
愚息をハーモニカに見立てたフェザータッチのフェラ(今にして思えば口内に含むことも、下先がチ○コに触れることもなかったため、フェラというのもおこがましいが…)は、この後も続いた。
ソワソワソワソワ。フワフワフワフワ。
ソワソワソワソワ。フワフワフワフワ。
触れているのか?それとも触れていないのか?独特の距離感を保ちつつ嬢は変わらず唇を這わせ続ける。
先にも述べたが「くすぐった気持ちいい」感じで、この感じは正直嫌いではない。だが、いくら私が敏感体質でもさすがにこれだけでは逝けない。もちろん嬢もそのことには気付いている。
現に怒張を維持し続けていた愚息が少し和み始めていた…。しかし、それに気付きつつも嬢はハーモニカフェラを続ける。
ソワソワソワソワ。フワフワフワフワ。
ソワソワソワソワ。フワフワフワフワ。
私は業を煮やした。
「それじゃいつまでたっても逝けないよ!生フェラでしょ。口の中に(チ○コを)含んでもっとちゃんとしてくれないと!」
柄にもなく本気でイライラしていた。追加料金を支払った(もっと被害に遭われている方には大変申し訳ないが…)という自負もあったのだろう。小心者の私には珍しく非常に強い口調で注意した。
しかし、それでも嬢は動じない。それどころか、再び耳を疑うような事を言ってきた。
「このコースはお口でするだけですから。生フェラになるとまた別に追加料金がかかってしまいます…」
「ふぁッ!?」
私は奇声を発する。しかし、即座に…
「何言ってるの。さっきお金を支払うときに確認したよね。生フェラだよね!って。5000円支払ったら生フェラをするって確認したよね?」
言質を取ったことを嬢に確認する。しかし、嬢は動じず…
「ですからお口でサービスすると伝えましたが、生フェラとは言ってません」
……
……
ボッタクリはどこまでいっても所詮ボッタクリ。絶句である。
思い出してほしい。確かに私は「生フェラ」という言葉を使った。しかし、彼女の口からは一度も「生フェラ」という言葉は発していない。言質を取るための質問に対する返答も、私の言葉に相槌を打つか、言葉を発しても「お口で…」と返答するだけだった。
要は「フェラ」を「お口で」との言葉に変換し、誰も「フェラ」をするとは言ってない。という状況を半ば強引に作り上げたのだ。
この事実に気付いた時、私は怒りで全身が震えた。
確かに彼女は「生フェラ」とは言っていない。とはいえ「生フェラだよね…」と確認した際の返事は言葉にこそ発せずとも間違いなく「YES」だったはず…。
そもそも口でのサービス=生フェラ。これは業界に限らず一般社会でも常識で、ボッタクリとはいえ風俗業に従事する女性であれば尚更周知の事実。
であれば、お口でのサービスですから…という言い訳は一切通用しないし、更に言うならば、ハーモニカのようなフェラがお口でのサービスという定義も存在しない。
手のサービスなら手コキ。口のサービスならフェラ。
これは日本に限らず世界共通の認識であり、この世に男と女、性別の異なる二種類の生き物が存在する以上、変わることのない普遍の事実。それを言うにことかいて、彼女は「フェラ」と「口」でのサービスは異なるものだという。
この前段階でのハンドマッサージ=手コキではない!という事象と同じく、もはや自らの世界観を他人に押し付ける詐欺師の所業。
もし仮にこれ以上追加料金を支払ったとしても、それはそれだから、これはこれだから…と業界における常識を顧みず、男女共通の認識を無視し、『エンジェルシェイク』店舗内だけで通用するルールを堂々と言い放ってくるに違いない。
そうと分かれば「何を況や…」である。
私のボッタクリに対する認識不足。さらにはボッタクリ店にも関わらず何かを期待し、盛り上がってしまったというミスはあるが、支払いに対して何も返さないという商売の常識を根底から覆すその姿勢に、お金以上に怒りを覚えた。
先ほどから何度も述べているように、ボッタクリ店は所詮ボッタクリ店である。端から騙すことだけを考え、仮にウン十万円騙し取れたとしても、それに対する対価は皆無。初めから相手に対してサービスをしようという気は更々ない。
骨の髄までボッタクリ!新橋ピンサロ『エンジェルシェイク』の悪しき所業。
大好きなピンサロを愚弄し、これまでの私の人生を侮辱し、今まで先人が作り上げたきたピンサロという文化を貶める。
この世にあって何一つ世間に役立つところのない無価値な存在。まさに希代の悪。
(もはや我慢ならん!!)
「もういい。これは間違いなくボッタクリ!誰が何と言おうとボッタクリ!君はボッタクリの方棒を担いでいるんだよ。分かる。それがどういうことか?とにかくもういい。帰る!」
と私は急ぎ服を着始めた。
今までとは明らかに違う私の態度と行動に、嬢は始めて戸惑いの表情をみせた。そして、このままでは不味いと感じたのか…
「ボッタクリって何ですか?そんなつもりはありませんよ。ちゃんとサービスしてますし、これからだって…」
と言って足元のカゴからコンドームを取り出し…
「特別に抜いてあげるから。今回だけだよ。追加料金もいらない。ホントに特別…」
と慌ててゴムの袋を破り、私の愚息につけようとする。が、時すでに遅し。私は既にしてズボンを履き終え、ジャケットを着込み…
「もういいから。ボッタクリだと確信した。今更遅い。警察に行くから…」
と言い放ち、その勢いのままブースを飛び出した。
つづく。
To Be Continued.
永久保存版!ボッタクリサロン潜入調査 その巧妙な手口を身をもって体験してきました!!終章-逃走-