たかが風俗。されど風俗。
お金を介して出会う男女悲喜交々の情話。
今日は心温まる素敵な体験談をお届けいたします。皆様、ハンカチを用意して読み進めください。
どうもオサムシです。このブログ初の企画?として、ある嬢を三人の同士が体験。それぞれ違った視線で感想を語るといった「府中三部作」を昨年お届けしました。
すでに告知してきましたように周辺の再開発の関係で、四半世紀にわたり営業を続けてきた『パラダイス』が昨年12月30日で営業終了の予告。
適当な物件があれば移転を目指す、とのことでしたがついに閉店までに新店舗の告知はされませんでした。(閉店後も決まればお知らせするとのことでしたが、未だ決まっていないようです)
そうなれば、気になるのは三部作で、マサさん、バカイチさんも大絶賛のあの嬢の行方。再開まで息をひそめるのか、他店へ移籍して存分の腕を振るうのか、それとも…。
『パラダイス』の話題は嬢を見出したオサムシの体験記で完結したつもりでしたが、年も押し迫った最終日にパラダイスの最後を見届けてきましたので、ほんとのほんとに最後として「府中三部作・番外編 そしてレジェンドは永遠に~パラダイス幕引き体験の記」をお送りします。
仕事納めも済ませて休みになっても、年末はなにかと用事が立て込んでいる。しかし12月30日、この日はいつもの歳末と違って特別な日なのだ。そう、パラダイス最後の営業日であると同時に彼女の最終出勤日でもある。
12月上旬に訪ねた際にまだ今後の身の振り方は決めていないと聞いたので、それならば最終日に会いに行くからね、と約束していたのだ。
余裕を見て、開店時間より早めに店内に入る。この長い廊下をくぐるのも今日が最後か、とちょっとおセンチな気持ちになる。やがて扉が開き店員が登場する。
「ご指名はありますか?」
最終日だというのに、いつもどおりの気負うことない淡々とした口調だ。が、しかし
「〇〇さん指名でお願いします」
と告げると、ちょっと複雑な表情を浮かべた。
「ええと、彼女ですと最短で×時からのご案内になります」
一瞬耳を疑った。まだ開店前である。それでこの待ち時間!なんじゃこりゃ?普段だったら絶対に挫折しているが、今日は最終日である。次はという選択肢はない。内心の動揺を隠しながら受付を済ませ予約券をもらって引き返そうとすると、あれまあ、後ろに何人もの受付待ちの行列ができている。
結果的にはこの待ち時間でも運が良かったといわざるを得なかった。
わたしのピンサロ史上もっとも長い待ち時間をどうにかやり過ごし、再開発のせいだけでなく時間が遅いために人通りが少ない中を再び店に入る。
案内が押しているようで、入口の脇にあるソファーで待つように言われる。長年通ったこの店でも初めての経験だ。その理由は後で分かった。
入口付近のこの待ち時間のおかげで、嬢の見送りやインターバルの様子、きびきびと動く店員の姿がよく観察できた。スリムな嬢、肉感的な嬢、妙齢な嬢、今日出勤の女の子のほとんど見ることができたのではないだろうか。
中には、この子なら指名して入ってみたいな、と思う嬢もいた。しかしそれはありえない、なにしろこの店の最終日なのだから。その間もひっきりなしに客が訪れる。しかし何組も入店を断っていた。彼らはもう二度とこの店に入ることはないのだ。
やがて予定時刻をだいぶオーバーしてシートに案内される。そこで見た光景は…席のほとんどが埋まっている。
失礼だが、この店はいつ行ってもそんなに混んでいたことがない。ふだんはせいぜい二組かそこら、暇なときには店内唯一接客されているときもしばしばあった。
それが今日はこのありさまだ。嬢があらわれるまでの時間にそれとなく周囲を観察すると、単にサービスを受けているだけでなく、年配客が水割りをゆっくり傾けながら嬢を談笑している姿もあった。
そう、わたしには到底その境地に達することができなかったが、この店には抜きだけが目的でなく、まったりと嬢と歓談するためだけに通った客も多くいたのである。そりゃあ案内も遅れるわけだ。
「ごめんなさい、お待たせしました」
と嬢が登場する。いつものとおりの満面の笑顔だが、気持ち上気しているようにも見える。実は先ほども入口でちらりと見かけたが、接客に追われているのは分かっているが、こちらにはそれを感じさせまいとする余裕が嬉しい。
挨拶がてらの話の流れで、どれだけ待ったかを聞かれたので正直に答える。
するとしみじみ「本当にありがとう、最後の日にわざわざ逢いに来てくれて」と、両手でぎゅっと手を握りしめてくれる。
聞いてみたら。出勤したらすでに全枠埋まっていたそうな。ちなみにこれは彼女の長い在籍期間中において初めての経験だそうだ。
あー、待ったとか文句言ってはいけないですね。
いろいろと聞きたいことはある。しかしまずは身体を近づけてぎゅうっと抱きしめる、ほどよい女体の感触を味わうのもこれが最後かとしみじみと感じる。
そしてキスからはじまる安定のプレイ。気分が高まっていたこともあり、彼女のいつもながらのテクニックであっとうまに頂点を迎える。いまさら細かいことはいうまい、過去の三部作で散々語っている最高のおもてなしだ。
そして着衣しながら、ようやく本題に入る。
結論からいえば、彼女はこの業界から卒業を決めたそうだ。
普通に勤めていたのが、ふとしたきっかけで腰かけの気持ちでこの店に入り、気が付いたら長く勤めていることになっていた。女性の側からしても、ここは働きやすく居心地がよかったと。
店を移ってこの仕事を続けることも考えたが、他の店が同じようだとも限らない。実際に店を変わっても戻ってきた嬢もいたくらいなのだから。
店がなくなることはこれもきっかけだと考え、新たに別のことを始めようと決意したのだと。これからやってみたい仕事の話も聞かせてくれた。
薄暗い店内の照明でお互い半裸姿。本来そんなところで話題に出すべきことではないのかもしれないが、まじめにしっかりと語ってくれた。
それは彼女の決心なのだから尊重する。しかしもうこれで逢うことはないのか。
話を聞くうちに感極まって思わず力強く抱きしめ、耳元でこう告げるのが精いっぱいだった。
「いままで本当にありがとう。こちらのことは忘れてもいいが、俺はずっと忘れないぞ。元気でしっかり過ごせよ、貴女ならどんな仕事をしたってうまくやって行けるはずだ、がんばれよ」
最後の方は鼻声になっていたと思う。身体を離して見合わせた彼女の目も、暗い照明の店内ながら潤んでいるように思えた。
手をつないで見送られる。いつもならば、ドアから長い廊下を渡って階段を上るまで満面の笑みで見送ってくれていた。しかし今日は入口で待ちが生じているため、無情にも途中でお別れしなければならなかった。
握っていた手を惜しくも離し、お別れの挨拶をしてからはあえて振り返らずに足早に店を後にした。
店を出ると、遅い時間にもかかわらず向かいのラーメン店前にはまだ人影があった。待ち客に気づかれないように足早に立ち去る。そこに寒風ふっと吹き抜けると、頬にさっき散々すりすりしてもらった白粉のにおいが漂った。
さっきまで薄暗い空間で浸っていた夢見心地からふと我に返った。もう彼女とは二度と逢うことがないのだと。
『パラダイス』はマイナーな店だと思っていたのですが、いざなくなってみるとその特別な雰囲気といいキャストの顔ぶれといい、良い形で地元に溶け込んでお客さんに愛されていたのが良くわかりました。
それにしても、ああいった形できちんとお別れができ、お店自体の最後も見届けること出来たのは、わたしのピンサロ史上でも屈指の思い出です。
これでピンサロ界においては、伝統芸能や絶滅危惧種が滅んだのと同じとかといえると思うのですが、それはそれで仕方がないことです。その最後の最後に、このブログを通じて知り合った二人の勇者に絶賛していただいたのは、彼女を知るわたしにとって本当に嬉しことで、まさにこのお店の最後の花道を飾れたと思っています。
貴女よ、ここ何年かたまにしか行かなかったけど、そのたびに本当に癒してくれてありがとう。どのような道に進んだとしても貴女の今後の成功と幸せを心よりお祈りしています。
-了-
淡く切ない体験談。休業ではなく閉店。しかもお上の影響に関係のない、ピンサロでは珍しくも純粋な閉店。とある郊外にある目ただぬも温かみのあるピンサロ店。その最後の時間を飾る名もなき同士と本名も知らぬ嬢たち…。
開店から積み重ねてきた小さな出会い。
そのひとつひとつに物語があり、出会いがあり、別れがあり、そして閉店最終日のフェナーレを迎える。
最終日。最後の一日。『パラダイス』最後の夜。その姿が目に浮かぶような心温まるお話。私のつたない言葉では語ることの出来ない閉店体験談。
今回はこれ以上何も語りません。
『パラダイス』のこれまでの功績と、これまで『パラダイス』に関わった全ての嬢に感謝し、さらに我々にピンサロの楽しさを再発見させてくれた○○嬢の前途を祈り、氏の体験談の余韻にひたりつつお別れいたしましょう…。
オサムシ氏、素敵なお話をありがとう!○○嬢たった一度の出会いでしたが、ピンサロの魅力を再発見できました。本当に本当にありがとう!
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