はじめてのパチンコからはじめての風俗まで。
高校一年生の春に起きた突然の大人デビュー。男バカイチ性春プレイバック。
物語は『リッチドール阿倍野店』の受付から再スタートする。
それまでのあらすじはコチラを参考に。
関連記事⇒「【性春プレイバック】16の春 僕はおんなを知った~契機~」
阿倍野駅から桃色天国駅へ
おぼろげながらも記憶を辿っていく。
路上から伸びる螺旋階段を上ると、左手にアーゲードゲームと大量の漫画が陳列された部屋があった。
店舗入り口はその右側にあり、扉に『リッチドール』と記されている。タクローがドアノブに手をかけ、わたしを率いる形で入店した。
店内には男がふたり立っていた。ひとりはすぐそこに、もうひとりは受付内に起立しており、わたしたちの姿を見るや訝しげな表情を見せた。その直後には男同士で目配せをするような仕草もあったかと記憶している。
おそらく未成年(18歳未満)とバレていただろう。しかし、それは黙認された。
受付内の男が切り出した。
「初めてですか?」と。
黙って頷くと、「おひとり様8000円です」とだけ言われた。
机には下着姿の女性が10名ほど並べられていたが、写真を見る余裕はなく、コースや禁止事項を説明されることもなかった。
いわゆる、今でいうところの強制フリー。選ばせてもくれないというやつだ。
だが、未成年であることを考えると利用させてくれるだけで有難い。それに何かを尋ねる余裕なんてないし、指名ができるという知識すらもなかった。
風俗へ行く!おんなを知る! 目的は単純であり明確だった。
料金を支払うと番号札を渡され、受付横の待合室へと通された。
番号札には番号のほかに、こう記されていた。
「阿倍野駅から桃色天国駅へ」
この言葉は今後数年、我々仲間内でヌキへ行く際の合言葉となり、今も後輩に伝承されているとの噂だ。
悪意なき便意
待合室には学生風のお兄さんからリーマン、ドカタの団体、初老の紳士がスケベ心を隠すように澄まし顔で待機していた。
皆一様に落ち着いており、雑誌や本を読んでいたが、我々が入ると舐めるような視線が送られた。その中には「若造が色気づきやがって」といった敵意すら感じるものもあった。
わたしとタクローは寄り添うように端の席に座り、心を落ち着けるように深い深呼吸をした。
思春期真っ只中の高校1年、ファーストキッスもまだなら、乳もマンコも生で見たことがない。それどころか、オンナというものをまったく知らない。しかも、明らかに場違いで周囲からわたしたちだけが浮いている。けれども、料金も払ったし、もう後戻りはできない。
こうなったら、なるようになるだけ。おんなを知ることに集中するだけだ。そして、現にそれがいま手の届くところまで迫っている。
パチンコに勝った勢いだけで風俗へとやってきた。しかし、いざコトが目の前に迫ると、とてつもなく不安で、尋常じゃないぐらい緊張する。
緊張を和らげようと、手元にあるエロ本を手に取った。
ダメだ、ぜんぜん勃たない。グラビアアイドルのヌードを見ても、ピクリともしない。
雑誌を持つ手が震える。隣を見ると、タクローもそうだった。タクローも漫画を手に小刻みに震えていた。
ただこの震えが、おびえなのか、緊張なのか、興奮なのかはわからなかった。ひとつ確かなことは、得も言えぬ感覚が人体のとある意識を呼び起こしたことだ。
その意識とは、便意。しかも大いなる便意。
便意その後
タクローが立ち上がり呟いた。
「トイレいいですか?」と。
続けざまにわたしも立ち上がり、「僕も…」と呟いた。
男がトイレの場所を教えてくれる。一度店を出て渡り廊下の向こうにあるようだ。そこは入店前に見たアーケードゲームと漫画が陳列された部屋だった。
そこにはトイレがひとつだけあり、その奥には簡易シャワーがいくつか据え置かれていた。
後々の話だが、我々がリッチマンの常連になった頃、、ある者はゲームをして待ち、ある者はシャワー(抜いたあとすぐ寝るために髪まで洗う)を浴び、またあるものは漫画を読んで待機した。
そして、皆が皆ここへ来ると必ずウンコをしていた。
いまは風俗へ行っても便意はおろか尿意すら催さないが、当時は必ずといっていいほど便意を誘発していた。
あれはいったいなんであったのか。答えはいまだ謎のままだ。
リッチドールとは
さて、ここで『リッチドール』とはなにかを伝えておこう。
リッチドールとは大阪風俗界の老舗中の老舗。府内の至る所に店舗型ヘルスを構えるキング オブ ヘルスの異名をとる日本を代表する風俗グループだ。
当時は『リッチドール』以外にも『太郎と花子』他(名前忘れました)といったフランチャイズを多数構え、全盛期には30を超える店舗が傘下にあったといわれている。
いまはグループの細分化が進められているようで、『リッチ』の看板を背負う店舗は少なくなっている。
阿倍野店はHPにもあるようにファッションヘルスを呼称しているが、形式的には「ピンサロ」に近いものだった。
コースも30分からロングコースまであり、別途オプションも用意されているが、わたしたちは30分以上を利用したことはない。
シャワーも併設されているが、あくまでも希望する者のみ10分500円(コインシャワー、値段は記憶違いもあり)で浴びることができた。プレイ前のシャワーは強制ではない。
プレイルームは扉つきの個室で、各部屋 天井から20~30cmほど空けて壁で区切られている。わずか壁一枚の隔たりなので、覗こうと思えば覗けるし、となり近所の声も普通に聞こえた。
ルームの広さは約2畳。ピンクの照明の下、布団一枚のみで行われる ザ昭和の風俗店。
総合的にはヘルスとピンサロのいいとこどりのようなお店だ。
参考URL⇒大阪の老舗風俗『リッチドールグループ』
参考URL⇒『リッチドール阿倍野店』
時は来た!
便を済ませ待合室に戻る。入れ替わり立ち替わりお客が現れ、待合室は常に混雑していた。
番号札が呼ばれると皆の動きが止まる。自分の番号ではないのに、確認するのは男の性か。
我々の順番はまだ来ない。そういえばどのぐらい待つのかも聞いていない。もしかしたらウンコをしてる間に呼ばれたのかも…と不安になるも、それを尋ねる勇気もなかった。
わたしたちは自分の番が呼ばれるまで、緊張と不安、後悔と期待を胸に秘め、ひたすらに、ただひたすらに待ち続けた。
週刊誌やエロ本を次々と手に取り、勃つか、勃たないかを、幾度となくチェックする。不思議なことにまったく勃たない。タクローも勃たないと不安げだった。
そうこうして、およそ1時間近く待っただろうか。。
ついに呼ばれた。
先にわたしからだ。番号札を確認され、注意事項を説明されると、受付奥へと通された。
人ひとりがすれ違える細い廊下。その左右に扉が数枚並んでいた。
男が○番と書かれた扉の前に立ち、ノックした。次の瞬間、ガチャリと明けられたそこには…
つづく。
to be continued
※不定期連載です。次回まで今しばらくお待ちください。