「抱っこ」と目の前の少女は言った。
わたしが両手を広げると、少女が勢いよく飛び込んできて、跨るように対面した。少女の顔が近づいてきて、そのまま言葉を交わすこともなくキスが始まった。
奥へ奥へと送り込まれる彼女の舌を防ぐように舌が絡み合い、互いの唾液が口の中で混ざりあって喉を通過し体内へと流れ込んでいく。
わたしの頭を抱きしめるように耳の穴を左右交互に頬張り、伸ばした手を背骨に添えて優しく刺激していく。
卑猥な唾液音が脳内に反芻し、ゾクゾクとした快感が無限に増幅されていくように感じた。
汗で濡れた首筋、うなじも容赦がない。舌を目いっぱい口から出して、拭うように拭き取ってくる。舌が大きく、細かく動くたびに、男らしからぬ声を少女の首筋に吹き掛けた。
もうこのまま委ねてしまおうか、、目の前の少女に。先入観といういらぬ物を取っ払い、素直に非を認め、スイッチを切り替え、麻薬にも似た快楽に溺れてしまおうか。
場末サロンだと思ってごめんなさい。
振り替え店だと疑ってごめんなさい。
どうせババアだろうとタカをくくってごめんなさい。
もう枯れたはずの下町に、こんなにも可憐な少女がいたなんて、、しかもこの濃密に過ぎる時間、出会って2分足らずでリピートを予感し、しかもそれが自分の予想を超えて帰結する。
壊滅したはずの郊外で、まさかこんな天使に出会うとは。いや、この地だからこそありえることか。
なぜなら、かつてこの沿線は王国を築いていたのだから。
噂通りその娘たちが流れてきているのなら、この辱めも十分あり得る…
ちんぐり返しをされ、肛門を拭かれるという恥辱と興奮に打ち震えるなか、意味のない先入観ほど無駄なものはないと冷静に考える自分がいた。
先入観という足を引っ張る魔物
話は1時間ほど前に遡る。
お盆前のとある平日。時刻は午後20時をまわったあたり。わたしは乗り慣れない地下鉄に揺られ、とあるピンクサロンへと向かっていた。
都内某所。
ひと昔は10軒弱ほどのピンサロが密集し、そこから数駅先にも人気のピンサロ店が存在し、沿線特有の海外文化も影響してか、そこは下町文化と異国情緒が混在する夜の街として賑わいを見せていた。
ところが、ここ数年は治安上の問題か、それとも増え過ぎた異国人の流入を止めるためか、あるいはその両方か、、地域を上げての取り締まりが厳しくなり、ピンサロ含めそれら夜の店も異国人も沿線上から消えていった。
そんな矢先、とある情報を入手する。
久方ぶりに街にピンサロができたという。
早速調べてみると、街の雰囲気に似合わない若く可愛い娘が映るHPを確認できた。さらに昔を知る者の心をくすぐるキャッチコピーも確認された。
わたしは思った。。。もしかして●サロ??と。
しかし、すぐに打ち消した。ネット全盛のこのご時世、さすがにそれはない。そんなことをすればすぐに摘発されてしまう。それにもし仮にそうだとすれば、すでに噂が出ているはずだ。
ひとまず、このくだらない妄想は除外して、次なる疑問を投げかけた。
それは、偽装学園サロンではないかということ。
公開されたHPは偽りで、そこに映る若い娘は撒き餌で、実際はババアがでてくる振替店ではないか。もしくは、在籍するにはするが吉原もびっくりの究極のパネマジ、それとも実際に在籍しているのはごく少数で、かわいいと予想される娘は飾り…
要は、悪意ある場末サロンではないか、という疑念。
地域の特性上、どうにも公式HPに映るすべてが信用できなかったし、昔を知る者と沿線住民に向けられたメッセージが、●サロ疑惑を完全に消し去ることを許さない。
しかしながら、場末にせ曰くつきにせよ、調べるには突撃あるのみ。仮に場末であればあるでネタになるし、仮に●サロであればあったで秘匿すればいい。
季節柄、夏の怪談にでもなれば儲けもの。
そんな先入観ありきの考えで訪問してみたら…この様だ。
20歳そこそこの写真通りのかわいい少女に喉を抉られるような圧迫ディープキスを受けて、想定外の嬉しさに悶えてるんだ。
そのときに思った。
疑ってごめんなさい。わたしが間違っていました。だからこのまま、このまま続けてください、、って。
騙され続けた風俗人生のせいか、色眼鏡で物事を見るようになっていた我が不明を恥じ入るばかり。それどころか、ここまで真っ正直な風俗店がかつてあっただろうか。
「ダメ、舌出して!」
わたしの娘でもおかしくない少女に(ちなみにわたしに娘はいない。妻と呼べる存在もいない)差し出した舌を吸われながら、己の不徳を恥じ、そしてこれから起こるであろう痴態に心が悦びに目覚めた。
さぁ変態しよう。
つづく。
to be continued
⇒ここはヘルスかピンサロか?昭和のオヤヂと平成生まれの少女が互いの痴態を包み隠さずぶつけあう唾液と汁の肉弾戦。早くも神のご褒美が炸裂する!?
※登場する店舗は書き上げた後で公開させていただきます。ここのところ少々多忙で少しばかりお時間をいただくとは思いますが、おそらく期待を超える内容になります。しっかり伝えていきたいと思いますので、どうか気長にお付き合いください。