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つづき。
「あのオプションプレイを…」
先の「雑菌性尿道炎」が原因で、別の疾患に発展したことがありました。「慢性前立腺炎」というものです。前立腺は肛門の腹側真上にある臓器で、おちんちんの付け根下に位置しています。ここが炎症を起こすとどうなるかといえば、慢性的な鈍痛、尿切れの悪さなどが症状として表れます。
わたしの場合は、排尿時や入浴時に強い痛みが出ることがあり、その自覚症状が病院へ行こうと思ったきっかけでした。
痛みは「引っ張られるよう」と表現されますが、ひどいときには付け根から会陰部にかけてうずくまるほどのものです。だんだん症状が頻発するので、泌尿器科の専門医院を訪ねました。ここでは受付をすると、患者の症状も聞かずにまず検尿をしてこいと言われます。そして相当待たされて医師の問診を受けました。
この病気にかかる原因ははっきり分からないそうですが、わたしの場合尿道炎に罹ることが多いと医師に告げたら、たぶんそこから菌が感染したのであろう、とのことでした。
じゃあ、患部を診るのであちらへ行って準備してください、と言われカーテンに覆われた診察台に登ると、四つん這いうつむけになる姿勢が図示してあります。
ズボン、下着を脱いだ下半身丸出しの状態で待機していると、先ほどの医師が表れます。
「ちょっと気持ちが悪いですよ」と言いつつ、手にサックをはめ、その上にワセリンを塗っています。そして…肛門から指を入れられ、腸壁を介して前立腺をグリグリとマッサージされます。
お尻の穴に指を入れられる感覚もさることながら、これが痛いのなんのって。だって、腫れて炎症を起こしているところをあえてグリグリするわけですから。捻挫したところを握られるようなものです。大の男が涙が出そう、じゃなくて本当に痛くて涙がでました。
ウンウン言っていると「もうちょっと我慢して」と声を掛けられ、更にどれだけの時間が過ぎたでしょうか、「はい、済みましたよ」とようやく解放されました。すると医師は、萎縮しきったおちんちんの先にプレパラートを当て、しみ出てきたものを採取します。
それは先走りでも精液でもない液体。マッサージによって排出された「前立腺液」なんだそうです。それを顕微鏡の上にのせ、後でわたしにも「ほら、これだけ膿が出ているだろう」と覗かせてくれましたが、素人には何が見えるかよく分かりませんでした。
病気に罹っている証拠として、先の検尿の中にも膿が出ていたそうです。
このマッサージは、治療の目的というよりは前立腺液を採取するために行うそうです。飲み薬の抗生剤を処方され、2週間後に再度の痛いマッサージ受けた後の検査では、だいぶ膿が減少しているとのことで、結局3回の通院で済みました。
わたしは行った事ありませんが、風俗の性感マッサージのオプションに「前立腺マッサージ」をうたっている店があり、ここを性器と同時に刺激すると勃起力が高まるとの説明をしています。
ネットのアダルトショップでも、刺激するための専門器具が売られています。しかし、治療で体験したわたしにとっては、なんでお金を出してあんな痛い思いを、というのが正直な感想です。炎症を起こしていないときに刺激されると快感なんでしょうか???
「これで一安心」
喉元過ぎれば熱さを忘れる、と申しますがあのマッサージ以来、たまに違和感をおぼえることがあっても慢性的な激痛には襲われずにすんでいます。
しかしそこまで菌は入っていないのでしょうが、久しぶりに尿道のムズムズが起こりだし、これがなかなかしつこいのです。前に通院したときに医師から「この症状が進んだら、がまんしていても良くならないからさっさと診察を受けなさい」と言われたので、さっさと診断を受けてスッキリしようと思いました。
前に受診した専門医はあまりに激混みだったので(患者のほとんどが中高齢男性)、今回は別の医院を探しました。
今はお医者さんも簡単にネットで探せるんですね。近所に新しくできていた、内科、整形外科、皮膚科、泌尿器科などなど要するになんでも診る、俗に言う「町医者」が見つかりました。
それでもやはりだいぶ待たされての診察です。症状を訴え、前にも罹ったことがあると伝えました。すると、患部を見せろとも言わず、「じゃあ、処方箋出すから調剤してもらって来て」「念のために検査しとく?」と。
何にも考えず「はい、お願いします」と答え、採尿して提出しました。小一時間待って、数分のことです。
先に検査の話ですが、1週間ちょっと経ってから結果を聞きに行きました。
医師が「変な病気はもらっていないようだね」といって検査表を渡してくれました。それを手にして目が点になりました。「検査項目」が「淋」「クラミジア」! 知らずに性病検査を受けてました。(もちろん、両方とも「検出されず」)まあ何も出なくて安心しましたが、医師は野郎が尿道炎の症状を訴えると、まず風俗遊びで病気をもらってきた、と考えるんですね。
話を聞くと、尿道に綿棒をグリグリ突っ込まれて検体を採取する方法もあるとか。診察でズボンすら脱がなかったわたしとしては、聞くだけで痛くなるような話ですが、精度としてはこちらの方が高そうな気もします。
「●●が一回で直る!」
今度は薬の話。その時にもらった処方箋を持って調剤薬局に行くと、「この場で服用してもらった方が良いのですが、食事は何時にされましたか」と聞かれます。
なんでも水に溶かして飲む「懸濁剤(けんだくざい)」というもので、食後一定の時間を空けないと下痢などの副作用が出る可能性があるとのことでした。時間は大丈夫だったので、薬剤師がわざわざ溶いてくれ、一気に飲んできました。良く言えば、バナナシェークのような味、食感でした。
最近はどこの薬局でも処方薬の簡単な作用をプリントアウトしてくれるので、家に帰って先ほど飲んだ薬品名でネット検索してみます。抗菌剤とのことでしたが…なんと、どこそこの性病クリニックでは「淋病・クラミジアが1回飲めば治療が完了!」とか宣伝されているかなり強力な薬とか。
たしかに、1度飲めば1週間効果が持続するとの説明を受けましたが、症状を聞いただけで診察もせず、こんな強い薬を出すあたりがさすが町医者、と思いました。
でも、おかげさまで服用して2、3日でムズムズの症状は劇的に改善しました。先に言ってしまいましたが、その後の検査でも淋・クラミジア性の尿道炎ではないと判断されましたので、やはりいつもの病気だったようです。
(注:この薬は淋病には効果が薄いとしているサイトも見ましたので、専門的なことは医師・薬剤師にご相談下さい)
お読みいただいてお分かりのように、わたしは俗に言う「性病」(性感染症)そのものには(おそらく)これまで罹ったことはないのと思われます。
今回ご紹介した病気の感染ルートは定かではありませんが、緒同士がいつ風俗で感染してもおかしくないものばかりです。限定されたこれらについてだけでも、なにかのご参考になれば幸いです。
それにしても風俗遊びをする以上、クンニや生フェラのような性器を直接口にする接触だけでなく、キスによる唾液、おさわりで皮膚に接触していますから、先日のバカイチさんのように性病以外の病気のリスクもあるのはご承知のとおりです。
わたし自身が心がけている予防策は、プレイ後の速やかなうがい、手洗い、排尿くらいでしょうか。あとは、自身の抵抗力の問題上、体調が悪い・弱っているときの利用は控えた方が良さそうです。
風俗遊びをする以上、これらの病気に対する絶対の予防策はないと思っています。たとえ、手コキ、ゴムフェラのみであっても、かかるときにはかかります。まあ、日常「それ以上」のプレイをしているわたしは、単に運が良いだけで、常にリスクと向かい合わせであることは十分に承知しています。
「ご利用はくれぐれも自己責任で!」
-了-
オサムシ氏。壮大で長大な寄稿。本当に有難うございます。氏の今までの生き様を表しているようで、機微な問題にも関わらずいい意味で面白おかしく読み進めることができました。
その中で気付いたことがあります。
「●●が一回で直る!」の話に出てきた「懸濁剤(けんだくざい)」。私が今年に入って一度目に寝込んだ「EBウイルス」いわゆるキス病に侵されたとき、近所の内科に行ったのですが、この時にこれを処方されました。
「喉の細菌を殺す強烈な飲み薬がありますので、それを処方しておきます」
と、言われ何も知らぬまま薬局へ。すると薬局のスタッフが女性だったのですが、何か不自然というか、こちらを見る態度に違和感があるとか…。
その謎が今解けました。あの時の女性薬剤師の視線の意味。主にそういう時に処方する薬だったのですね。
文中に出てきた使用法と同じで注意説明もまったく同じ。しかも、面白いことに私は副作用に当たりその後、下痢ピーになりました。さらに全く効かなかったし…。
読みながらそういえば…と気付き、注意事項や副作用のくだりで確信。不思議なものですが、なにか胸のつかえがとれたような気がします。
とはいえオサムシ氏と同様、私も性病の経験はありません。しかし、これは氏もおっしゃっていますが、ただ運が良かっただけです。風俗、いやピンサロで遊ぶ我々は性病への危険性を認識しつついかにリスクと向かい合うことができるか…
これに尽きると思います。
氏の最後のお言葉…
私もこの言葉を借りてこの寄稿最後を締めくくりたいと思います。
「ご利用はくれぐれも自己責任で!」
それでは今日はこの辺で…。