冬も迫り来る10月下旬、私は求めていた。人肌が恋しいわけじゃない。柔肌に触れたいわけでもない。むろん、触れることができればそれでいい。
それよりも寧ろ、、、ぬるぬる になりたかった。
ぬるぬるのヌルヌルのなかでぬっるぬるに浸りたかったんだ。
普通でいいんだよ、背伸びしなくてもいいんだよ
扉を開けると、威勢のいい掛け声、左をみるとテッカテカに脂ぎった男たち。これからヌルヌルになって、30分後にはツヤッツヤになって帰っていくのだろう。
それは、私も同じだ。
目の前の少年がおどろおどろしく尋ねてくる。
「し、指名はありますか?」
「ん~そうですねぇ…」
おっさん脂をテッカテカに輝かせた顔でパネルを眺める。指名する気なんてサラサラないくせに…
まどろっこしい姿の私を見て受付奥から声がかかる。
「迷ってるならフリーにしましょう。すぐの案内だし、そうしましょう!」
「そ、そい、すすすぐでずっ!」
すかさず合いの手が入る。が、声も小さく滑舌も悪い。態度もどこか自信なさげだ。おそらく新人スタッフなのだろう。伏し目がちに、どもりながら私にフリーを勧めてくる。
巨大なモニターには総勢20名を超えるうら若きギャル。みんなカワイイ娘ばかりだ。さすがフラ系旗艦店、嬢のレベルはすこぶる高い。
しばしの沈黙後、、、「フリーでお願いします」
「ありがとうーございますっ」
「あ、あ、ありがとござます」
メルマガを見せて、料金の支払い。そして、ヌルヌルロードへとヌルっと案内された。
なお最後までどもり続けたこの少年だが、この後、2週間ばかりで急成長を遂げる。
小柄で細身で一見ヲタクっぽい風貌なのに、大胆且つ威圧的にフリーを迫る様はやや滑稽で、しかし、流れるBGMに合わせてリズムを刻み、声を太めて自信ありげに振る舞うその姿は、まるで人が入れ替わったかのように堂々としていた。
人間自信がつけば変わるもの。しかし、しかしだ少年よ。年長者から一言だけ言わせてもらおう。
あまり虎の威を借りてはいけない。君はそんなに強くない、強くないんだ。無理して自分を大きく見せる必要はないんだよ。
ここは池袋西口『ピース』私は今日ヌルヌルになるためにここへ来た。
組織の潤滑油でありたい。それ即ちローション!!
ヌルヌル ヌルヌル しつこいようだが、私はこの日 ヌメリ を渇望していた。
あの透明で潤沢で光沢を帯びてキラキラ光り、愚息に塗れば「松崎しげる」もびっくりの黒光り。褐色のギャル塗ればヌルテカが出来上がり、道産子のキメ細かな肌に垂らすと世界で一番の乳白色が完成する。
男女の仲を深め、夫婦の営みを円滑にし、性風俗店並びにそこで働く女性の光となり陰となる。
その物質こそローション!
いったい誰がなんのためにこのヌルヌルを開発したのだろうか。まさか当初から性行為を潤滑に行うために開発されたのだろうか。だとしたらそいつは相当のテク不足か、相当のスケベか、その両者だろう。
とはいえ、現代の男を代表してお礼を述べておこう。
ありがとう、ミスターローション!と。
プッシュ式のボトルとキッチンペーパー
時にシャワーのないピンサロでローションを求めるなど無謀!という声もある。確かにあのヌメリは水分がなければやっかいだ。しかし、シャワーがないからこそ、あの独特のヌルヌルが生きるという側面もあるはず。
今日はそれを確かめたい。
プレイルームは鉄火場だった。約8割近いシートが稼動し、至るところで男女のまぐわいが見てとれた。
シートを見下ろすように指定のブースまで歩くと、白き柔肌がそこかしこでまばゆく反射し、酒池肉林がごとき様相を創り上げていた。
腰を降ろすと、女のあえぎ声が聞こえてきた、BGMに乗って男のうめき声も、ぬちゃぬちゃとエロイ音も聞こえてきた。
ヌルヌル地獄を耐え切れない青年の断末魔も聞こえてくるようだった。
よく見ると、机の上に小さなボトルが置かれていた。携帯用のシャンプーボトルのような大きさで、中身は水溶性の透明な液体、、ローションだ!
ヘルス嬢が持ってくる大サイズボトルではく、しかもプッシュ式。多量に漏れ出るのを防ぐ狙いがあると予想された。
シートの片隅には、、、キッチンペーパー??
いつもにはない不可解な光景だった。
明るくエロい ハイテンションなうるさ型
嬢が来た。
お腹ぽっこり、少しぽっちゃり。色白でむちっとした身体が若さを主張していた。
「お待たせしました~」
シートに上がろとした、まさにその瞬間、、、
「ちょちょ隣です。間違いです」
「えー隣??あっごめんなさい」
シート番号を間違えたようだ。新人さんだったのだろうか。。。と、続けざまに本チャンが登場がした。
「こんにちはー、今度はまちがいじゃないよ~。○○○って言います♪覚えてね、宜しくお兄さんっ!」
とシートに入ってくるなり、、、「今日は来てくれてありがとぅーー、ギュゥー!」
いきなりのハグである。しかものっけからのハイテンション!!
ハグのあとは私の胡座の上に背中を預け、私を見上げながら会話。嬢が私の膝上で寝るような体勢になったため、私の手は自然と美脚へと伸び、スリスリと撫でた。
なんとも馴れ馴れしいファーストコンタクトだった。しかし、嫌な気はしなかった。きっと甘え上手なのだろう。
嬢はのっけから話し続けてきたが、会話の中身はまるで覚えていない。きっと中身がなかったのだろう。
とにかくのっけからハイテンションで話し続けてきて、さらに声が高くて微妙にアニメ声だから、、、やかましい!!!というわけでもなく、不思議と心地がよかった。
この手のうるさ型が久しぶりだったからか、それとも嬢のスタイルが良く、その柔肌を撫でるのに夢中で話を聞き流していたからか…
おそらく後者であろうと思うが、それ以上に嬢のキャラ設定に好感を覚えた。
俗に言う「○○ワールド」的な世界であろうか。不思議ちゃんを演出するふうではなく、ただ元気に明るくエロいキャラをハイテンションで創りあげているようであり、相手に合わせるのではなく、自分のペースに引き込んだ上で、、、
気軽に楽しもうよ!そう誘われているようでもあった。
私としてこれは大歓迎だ。なぜならこの世界観に乗っかればいいだけなのだから。
アバター現る
この日の衣装は、季節外れの水着。いわゆる、「水着×ローション」 まさに『ピース』である。このコラボこそ平和の象徴だと、私は思う。
嬢は自前の黒ビキニを着ていた。残念ながら水着のセンスが悪く、エロさもかわいらしさの欠片もない。
例えるなら、20代後半の人妻が子供を連れて海水浴に来たのはいいが、水着が当時のままだったみたいな、、ずばり言うなら、ちょっと野暮ったい。がしかし、スタイルは洗練されていた。
長身であり細身、手足が長く、それでいてくびれもあり、女子受けするモデルスタイル。さらに言うなら顔も長く、切れ長の目に黒のロングヘアーがアジアンビューティーな印象も連想させた。
うまく言えないが、爬虫類系のルックスだろう。よく言えば劣化版「菜々緒」、悪くいえば「JUJU」、平たくいえば、「アバター」にでてきそうな、そんなイメージ。
顔だけ見れば難しいかもしれないが、スタイルは理想的。手のひらサイズの美乳も綺麗だし、お尻もプリッと美尻。さらにアソコはパイパン!
それ以上に、ルックス含めて全体的に気をつかわなくてもい雰囲気がとてもよかった。
リラックスしてエロに臨める。相手を気遣うのはもちろんであるが、プレイする相手に気を使わせすぎないキャラというのも変態をするうえでとても大切なことだと思う。
そう思うのは私だけだろうか。小心者ゆえの悩みかもしれないが…
さて、プレイへと入る。
どちらからということもなく、キスが始まった。キスはベロチューも可で、舌を出せば舌を絡ませ、その逆もしかり。キスから感じたことは、とにかく舌が良く動くということだが、この舌戯が後の惨事を生むことになるとは、このときは予想もしなかった。
つづくto be continued